(別紙2)
確定給付企業年金の事業運営基準
1.総括的事項(規約型・基金型共通)
@ 事業主及び企業年金基金(以下「基金」という。)は、加入者等の氏名、
住所、生年月日その他の個人情報の保管・使用に当たっては、確定給付企業
年金の実施に係る業務の遂行の目的のみに保管・使用し、当該業務以外の別
の目的のために保管・使用してはならないこと(加入者等の同意がある場合
その他正当な事由がある場合を除く。)。
A 加入者原簿は給付を受ける権利の有無及び内容を確認するための基本的な
資料であることから、加入者資格の取得及び喪失の年月日その他給付の裁定
に必要な事項について正確に記録するとともに、記録が滅失することのない
ように管理には慎重を期すこと。
B 規約については、その現況及び変遷を常に明確にしておくこと。
C 基金には、給付に課される所得税について、所得の支払者としての事務が
あることから、給付の支払のつど、給付の種類別に、受給者ごとの支払額、
支払金融機関、所得税額及び住所等を記載した一覧表を作成し、事業年度終
了後速やかに、当該事業年度中に支払った給付について、受給者ごとに、各
支払年月日等を記載した一覧表を作成すること。当該支払に係る事務を委託
している場合の扱いについては、これに準ずること。
2.企業年金基金の組織及び運営に関する事項
(1)総括的事項
基金は、確定給付企業年金を実施するために特に設けられた法人であること
から、設立本来の目的を逸脱することなく、適切な運営に努めること。
(2)代議員会
@ 代議員会は、基金の運営の重要事項を決定する議決機関であり、基金の運
営の中核を占めるものであることから、事業主や労働組合等一部の者の専横
を廃し、民主的に運営される必要があること。
A 加入者において選出する代議員(互選代議員)の選出の手続については、
あらかじめ規程を設けることなどにより民主的に、かつ、適正に行うこと。
B 複数の厚生年金適用事業所において一の基金を設立する場合にあっては、
各実施事業所の事業主及び加入者の意思が適切に反映されるよう配慮するこ
と。
C 代議員会の運営については、あらかじめ規程を設けるなどにより円滑な運
営が行われるように措置すること。
D 代議員の代理出席は、災害、傷病等やむを得ない事情がある場合に限り、
一人の代議員が代理できる。代議員の数は最小限に止めること。
E 代議員会における会議の状況及び決定事項は、詳細に記録保管しておくこ
と。
(3)理事
@ 理事の選挙の手続については、あらかじめ規程を設けることなどにより円
滑な運営が行われるように措置すること。
A 理事長に事故があったとき又は理事長が欠けたときに理事長の職務を代理
し、又はその職務を行う理事については、あらかじめ指定しておくこと。
B 理事は、会議により業務を執行することを原則とし、理事の事務執行のた
め、理事をもって組織する理事会を設けること。
C 理事会における会議の状況及び決定事項は、詳細に記録保管しておくこと。
(4)監事
@ 監事は、専門的・技術的な基金の事業が長期にわたり健全に継続でき、か
つ、特定の目的のために特に設立された認可法人である基金の運営が健全に
行われるよう、自己監査機関として特に設けられたものであることを鑑み、
監事制度の活用を図ること。
A 確定給付企業年金法(以下「法」という。)第23条の規定により、監事
に代表権が与えられる場合においては、監事2名で共同して行うこと。
B 監事の監査は、別紙5の「企業年金基金監事監査規程要綱」を基準として
監査規定を設け、これに基づき適正かつ厳正に行うこと。
(5)事務組織
@ 基金の規模に応じた事務組織の整備を図ること。
A 事務員の数が10人未満の基金にあっても、事務員の処遇を明らかにする
ため、労働基準法(昭和22年法律第49号)の規定に準じた就業規則を定
めることが望ましいこと。
(6)事務管理
@ 基金の実施事業所の範囲及び役員の変遷については、詳細に記録しておく
こと。
A 規約の現状及び変遷を明確にしておくこと。
(7)財務及び会計
@ 基金債権は、原則として、その全部又は一部を放棄し、又はその効力を変
更することができないこと。
A 出納の担当者の業務及び責任の範囲を明確にしておくこと。
B 現金の出納及び保管は、厳正かつ確実に行うこと
3.上場株式による掛金の納付
法第56条第2項の規定による上場株式による掛金の納付については、確定給
付企業年金法施行令(以下「令」という。)第36条及び確定給付企業年金法施
行規則(以下、「規則」という。)第39条から第42条までに定めるもののほ
か、次に定めるところによること。
(1)規約変更の認可申請
株式による納付を行おうとする事業主及び株式による掛金の納付を受けよ
うとする基金は、規約変更の承認(認可)申請書に、株式による掛金の納付
に係る個別銘柄、数量等に関する実施事業所が策定した全体計画(以下「全
体計画」という。)についての内容が記載されている書類を様式C9を参考
に作成して添付し、変更日の原則1月前までに、管轄する地方厚生(支)局
長(以下「地方厚生局長等」という。)に提出すること。
(2)基金における実施時の事務処理
@ 株式による納付の申出
基金は、全体計画に基づき、株式により掛金を納付する各納付時(以下、
「実施時」という。)における株式の銘柄、株式数についての申請を実施事
業所から受け、
ア 全体計画に沿ったものであるか
イ 基金の資産総額に対する割合(5%)及び発行済み株式総数に対する
割合(5%)を超えていないか
ウ 株式の価額の合計額が実施時に納付すべき掛金の額を超えていないか
を確認するとともに、当該内容について速やかに基金資産運用機関(基金が
締結した基金資産運用契約の相手方をいう。以下同じ。)へ連絡すること。
なお、申請内容が全体計画と大幅に異なる場合は、改めて理事会の同意を
必要とすること。
A 受渡日及び価額評価日
基金は、株式による納付が行われるごとに、実施事業所及び基金資産運用
機関と協議の上、株式の受渡日を決定するとともに、株式に係る価額評価を
する日について事務処理を勘案した上で、当該受渡日の前2日間のうちいず
れかの日を定めること。
また、複数の株式が納付される場合、受渡日及び価額評価日については、
個別株式毎に定めるのではなく、全株式において同一日とすること。
B 受渡日前日又は前々日の事務処理
(6)納付された株式の転売制限及び議決権留保について
納付された株式は、実施事業所から資産管理運用機関又は基金に当該株式の
所有権が移転されることから、当該事業所による当該株式の転売制限及び議決
権留保は認められないこと。
また、事業主及び基金の理事については、当該株式の転売制限等受託者責任
に反するような運用指図を信託会社に行うことはそもそも許されないものであ
るが、
ア 特定信託契約については、投資一任が義務付けられていること
イ 特定信託契約以外の信託契約については、株式運用の場合、銘柄、数量、
価額、売買の別及び時期を指図することが運用方法を特定することになり、
これは認められないこと
から、法令上も事業主及び基金の理事は当該株式の運用に関して、運用受託機
関(資産管理運用機関及び基金資産運用機関をいう。以下同じ。)に指図でき
ず、従って転売制限もできないものであること。
(7)株式による掛金の納付に係る個別株式割合報告書について
株式で掛金を納付した事業主又は株式により掛金の納付を受けた基金におい
ては、納付した株式又は納付された株式に係る報告書(様式C11)を、毎事
業年度ごとに作成し、翌事業年度終了後4月以内に、地方厚生局長等へ提出す
ること。
(8)留意点
@ 株式の納付を受けるに当たっては、確定給付企業年金の規約上に、上場株
式による掛金の納付を行うことができる旨規定する必要があり、規約変更に
係る手続(注)が必要となること。その際、全体計画について、規約型企業
年金の場合にあっては、資産管理運用機関の了承が、企業年金基金の場合に
あっては、基金の了承が前提となること。
(注)規約変更の手続き
ア 規約型企業年金の場合 被保険者の過半数で組織する労働組合がある
ときは労働組合(ないときは、被保険者の過半数を代表する者)の同意
及び厚生労働大臣の承認
イ 基金型企業年金の場合代議員会の議決及び厚生労働大臣の認可
A 当該株式に係る運用を委託する運用受託機関において、当該運用受託機関
が保有する当該株式数が当該株式の発行済み株式総数の5%を超える場合に
は、独占禁止法第11条の規定による金融会社の株式保有に係る認可申請を
公正取引委員会へ、銀行法第16条の3の規定による株式保有に係る承認申
請を金融庁へ行い、公正取引委員会の認可、内閣総理大臣の承認がそれぞれ
必要となることから、事業主又は基金は全体計画に関して運用受託機関と連
絡・調整すること。
B 株式による納付を受けようとする基金は、適切な資産の管理運用を行うた
めに、長期にわたり維持すべき資産構成割合(以下「政策的資産構成割合」
という。)を策定するとともに、納付された株式により基金の資産構成割合
を歪めることのないように十分配慮すること。
C 株式による納付を行う事業主及び株式による納付を受けようとする基金は、
積立金の運用に関する基本方針(令第45条第1項)において、運用業務に
当たっての遵守事項として、納付された株式の利用方法及び制約事項を規定
すること。
D その他
ア 納付された株式の運用受託機関への払い込みに当たっては、適切な運用
管理を行うため、通常の掛金に係る払い込み割合の対象とはせず、運用受
託機関と調整のうえ委託すること。
イ 事業主及び基金は、「3.上場株式による掛金の納付」における運用受
託機関への連絡については、記録に残る形で行うこと。
4.積立金の管理運用業務に関すること
事業主及び基金の積立金の管理及び運用に関する業務(以下「管理運用業務」
という。)については、法、令及び規則に定めるもののほか、次に定めるところ
によること。
(1)運用の基本方針及び運用指針の策定に当たっての留意点
@ 運用の基本方針
運用の基本方針の策定・変更に当たっては、「確定給付企業年金制度につ
いて(平成14年3月29日年発第0329008号)(以下「法令解釈通
知」という。)」及び「確定給付企業年金に係る資産運用関係者の役割及び
責任に関するガイドラインについて(平成14年3月29日年発第0329
009号)によるほか、必要に応じて運用受託機関とも連絡をとりながら、
的確な内容のものとしていく必要があること。
A 運用指針
運用指針の策定・変更に当たっては、運用受託機関の考えを聴きながら的
確な内容のものとしていく必要があること。
また、運用の基本方針に係る事項についても運用受託機関に提示すること
が望ましいこと。
(2)掛金の払込割合の変更等に関する取扱いについて
@ 掛金の払込割合の変更、資産の移管の額及び年金給付費等の負担割合の変
更並びにそれらの時期については、運用受託機関との契約の内容を踏まえ、
事業主又は基金自らの判断により行うこと。
なお、年金資産は長期的観点から運用されるべきものであり、政策的資産
構成割合を維持するために行う場合を除き、資産の移管又は掛金の払込割合
の変更を適切な評価に基づかずに頻繁に行うことは、結果として運用効率を
悪化させる可能性があることに留意すること。
A 積立金の各契約に係る資産の移管(保険契約における一般勘定と特別勘定
との間における資産の振替を含む。以下「資産の移管」という。)に関する
取扱いについて
ア 資産の移管を行うに当たっては、各運用受託機関と契約に基づく協議の
上、基準とする契約資産額を確定するとともに、変更資産額及び変更後の
資産額並びに資産の移管を行う日を決定すること。
イ 有価証券現物による移管に当たっては、その対象となる資産の範囲、移
管の方法等の具体的な対応について事業主又は基金と信託銀行の契約当事
者間で十分調整する必要があること。
ウ 有価証券現物の移管と受管に際して、事業主又は基金自らが有価証券現
物を保管してはならないこと。仮に事業主又は基金自らが有価証券現物を
保管した場合には、法第65条又は法第66条に抵触するものであること。
なお、有価証券現物の移受管の実施については、移受管に要する日数が
資産の種類等により異なることから、その完了には一定の日数を要するこ
とも考えられるが、この場合においても、事業主又は基金自らが有価証券
現物を保管することのないよう、信託銀行間において移受管される各資産
について同日のうちにこれを完了する必要があること。
B 給付費等の各運用受託機関の負担割合の取扱いについて
ア 給付費等の各運用受託機関の負担割合については、例えば、前事業年度
の末日の2ヶ月前の日の各契約ごとの資産額の総資産の額に占める割合を
基準とする等、各運用受託機関と契約に基づく協義の上、定めること。
イ 資産の移管を行った場合については、例えば、給付費等の負担割合を前
事業年度の末日の2ヶ月前の日の各契約ごとの資産額の総資産の額に占め
る割合を基準としている事業主又は基金にあっては、それ以降の当該負担
割合は、変更後の資産割合により取り扱い、また、資産移管の日が前事業
年度末2ケ月の場合は、資産の移管の日の属する事業年度の翌事業年度に
ついても、引き続き変更後の資産割合で取り扱うこととする等、適切な取
扱いを行うこと。
ウ 運用受託機関の辞任又は契約の解除等があった場合、当該運用受託機関
が負担すべき給付費等については、当該運用受託機関は、辞任又は契約の
解除等の日以降は支払うことができないことから、当該契約資産額が変更
されるまでの間、契約が残存する各運用受託機関と協議の上、辞任又は契
約の解除等となる運用受託機関の負担割合を負担することとする等、適切
な取扱いを行うこと。
(3)運用勤行理事について
@ 基金は、積立金の管理及び運用に関する業務(以下「管理運用業務」とい
う。)を執行する理事(以下「運用執行理事」という。)を置かなければな
らないこととされているが、運用執行理事の選出に当たっては、基金の財政
状況に精通し、管理運用業務を適正に執行できる者であって基金の業務運営
に熱意を有する者を充てること。
なお、やむを得ない場合は、他の業務の担当理事と兼任して差し支えない
が、その場合であっても他の基金の運用執行理事と兼務してはならないこと。
A 運用執行理事の職務の範囲は、おおむね次のとおりであること。
ア 運用受託機関の選定に関する事項
イ 運用の基本方針に関する事項
ウ 運用指針に関する事項
エ 運用受託機関との契約書、協定書等に関する事項
オ 資産の運用状況に関する事項
カ 監事及び行政庁による監査に関する事項
キ 理事会及び代議員会に対する運用状況及び決算に関する事項
(4)基金の積立金の自家運用について
@ 令第42条第2項の規定による届出について
ア 管理及び運用の体制に関する届出
令第44条第2号に掲げる方法により運用を行う基金は、理事会及び代
議員会において意思決定を行うとともに、理事会において同号の運用業務
に係る運用執行理事を選出、同号の管理運用業務に関する基本方針の決定
を行ったうえで、当該運用執行理事及び管理運用担当者の氏名等を記載し
た届出書(様式C12)に必要な関係書類を添付し、遅滞なく地方厚生局
長等に提出すること。
なお、届出書中の管理運用担当者については、法令解釈通知に規定する
国内普通債券、新株予約権付社債、株式、外貨建債権、外貨建新株予約権
付社債、外貨建株式のファンドマネージャー若しくは資産管理職員又は基
金全体の資産を管理する貫任者の職員ごとに記載すること。
イ 届出に必要な関係書類
届出に当たっては、それぞれ以下の書類を添付すること。
a 運用の基本方針を記載した書類
b 理事会及び代議員会の議事録の写し
c 投資顧問契約を締結した場合における契約書の謄本
d 株式インデックス運用におけるシステムの名称及び概要
A 令第44条第1号に掲げる方法により運用することができる基金の要件は、
次のとおりとすること。
ア 理事会等基金内部での意思決定手続きに従って、運用の基本方針の策定
において自家運用を行う基金が定めるべきとされている事項を運用の基本
方針に定めていること。
イ 令第44条第1号に掲げる方法による運用業務に係る運用執行理事を置
くよう努めなければならないこと。
ウ 法令解釈通知の第6の4の(1)に関する事項について、体制を整備す
るよう努めなければならないこと。
B 令第44条第2号に渇げる運用方法に伴う積立金の管理について
基金は、令第44条第2号イ又はへ(1)に掲げる有価証券の売買により
運用する場合には、同一の会社の発行する社債の合計額は、同条第2号に係
る運用資産額全体の10%以下となるよう運用すること。
C 投資信託等への運用に当たっての留意事項
ア 投資信託又は外国投資信託(契約型投資信託)
a 投資信託及び投資法人に関する法律(以下「投信法」という。)の規
定に基づき、受益証券の売買に当たっては、信託会社若しくは金融当局
の認可を受けた投資信託委託業者があらかじめ投資信託約款を金融当局
へ届け出た投資信託に係る受益証券、又は外国投資信託の受益証券の発
行者があらかじめ金融当局へ届け出た投資信託に係る受益証券を金
融機関等(日本国内に本店又は主たる事務所を有する金融機関等(外国
証券会社を含む。)に限る。以下同じ。)を通じて売買するものでなけ
ればならないこと。
b 受益証券の購入に当たっては、投資信託約款、信託約款、目論見書等
により、その商品の資産構成、リスク・リターン特性、技資哲学及び運
用体制等が基金の政策的資産構成割合等運用の基本方針に適合するもの
であるかどうかについて十分な確認を行わなければならないこと。
c 基金は、事業年度ごとに資産を時価により評価し、その構成割合を確
認する必要があることから、受益証券の購入後も販売金融機関等より運
用に関する報告書を入手し、投資信託に係る資産構成、リスク・リター
ン特性、投資哲学及び運用体制等運用状況を把握しなければならないこ
と。なお、適切な運用管理を行う必要性から月次ごとに運用状況を把握
することが望ましいこと。
イ 投資証券、投資法人債又は外国投資証券(会社型投資信託)
a 投信法の規定に基づき、投資証券又は投資法人債の売買に当たっては、
設立企画人が資産運用の対象及び方針等の規約を作成し、金融当局への
登録を行った投資法人による投資証券若しくは投資法人債、又は外国投
資法人若しくはその設立企画人に相当する者が資産の管理及び運用等に
関する事項を金融当局に届け出た上で募集の取扱い等が行われる外国投
資証券を金融機関等を通じて売買するものでなければならないこと。
b 投資証券、投資法人債又は外国投資証券の購入に当たっては、投資口
申込証又は投資法人債申込証に記載されている規約、目論見書等により、
その商品の資産構成、リスク・リターン特性、投資哲学及び運用体制等
が基金の政策的資産構成割合等運用の基本方針に適合するものであるか
どうかについて十分な確認を行わなければならないこと。
c 基金は、事業年度ごとに資産を時価により評価し、その構成割合を確
認する必要があることから、投資証券、投資法人債又は外国投資証券の
購入後も販売金融機関等より運用に関する報告書を入手し、投資信託に
係る資産稀成、リスク・リターン特性、投資哲学及び運用体制等運用状
況を把握しなければならないこと。なお、適切な運用管理を行う必要性
から月次ごとに運用状況を把握することが望ましいこと。
ウ 私募投資信託への投資に当たって留意すべき事項
a 私募投資信託には、50人未満の者を相手方として募集する「少人数
私募」と、募集人員に制限はないが適格機関投資家のみを相手方として
募集する「プロ私募」の2種類があるが、基金は、現在、適格機関投資
家でないため、直接、金融機関等を通じて売買を行うことができるのは
「少人数私募」のみであり、「プロ私募」の売買に当たっては、委託運
用により行わなければならないこと。
b 私募投資信託は、商品の資産構成、リスク・リターン特性、運用手法
等につき基金の要望を反映した商品設計が可能である一方、投信法の情
報開示に関する規制及び運用規制については公募投資信託に比べ緩和さ
れたものとなっており、公募投資信託で義務付けられている目論見書及
び信託約款等の交付が売買を行う金融機関等に義務付けられていないこ
とや、投資信託に係る資産についてデリバティブの制限がないことなど
から、その購入に当たっては、金融機関等から資産構成、リスク・リタ
ーン特性、投資哲学及び運用体制等について十分な説明を受けるととも
に、購入後も運用状況を十分確認する必要があること。
エ 令第44条第1号イにおいて規定する投資信託の受益証券等の購入に当
たっては、上記のアのb又はイのbに規定する投資信託約款、規約等によ
り、その資産総額の2分の1を超える額を有価証券に対する投資として運
用することを目的とするものであるかどうかについて十分な確認を行わな
ければならないこと。
D 先物及びオプションによる運用に当たっての利用限度
債券先物、債券オプション、先物外国為替、通貨オプション、株価指数先
物及び株価指数オプションにより運用するに当たっては、各資産ごとに以下
の利用限度を遵守すること。
ア ネットベレスで売りヘツジの場合(左辺が正の値である場合)
(売建に係る額+コール付与残高+プット取得残高)−(買建に係る額
+コール取得残高+プット付与残高) ≦ 現在保有する原資産の時価総
額又は保有することが確定している原資産の時価総額
イ ネットべースで買いヘッジの場合(左辺が正の値である場合)
(買建に係る額+コール取得残高+プット付与残高)−(売建に係る額
+コール付与残高+プット取得残高) ≦ (現在保有する現金又は保有
することが確定している現金)+(付与対価合計額−取得対価合計額)
(注)なお、付与対価合計額とは、コール付与残高及びプット付与残高に
係る対価(プレミアム)の合計額をいい、取得対価合計額とは、コー
ル取得残高及びプット取得残高に係る対価(プレミアム)の合計額を
いうこと。
ウ ただし、規則第81条第2項の規定により基金全体の政策的資産構成割
合と実際の資産構成との乖離が現に生じ、当該乖離を縮小することを目的
とする場合にあっては、上記にかかわらず、先物又はオプションによる運
用が可能であること。
E 株式インデックス運用に当たっての留意事項
ア 株式インデックス運用の対象となる株価指数は、令第44条第2号へ(
2)及び規則第80条第1項により、証券取引法第2条第18項に基づき
各証券取引所が指定する株価指数及び当該株価指数に準じたものとして厚
生労働大臣が指定する指数とされているが、各証券取引所が指定する株価
指数は、現在以下のとおりであり、また、現在のところ、厚生労働大臣が
指定した指数はないこと。
a 東京証券取引所が指定する株価指数は、東証株価指数(TOPIX)、
S&P/TOPIX150、東証電気機器株価指数、東証輸送用機器株
価指数、東証銀行業株価指数であること。
b 大阪証券取引所が指定する株価指数は、日経平均株価、日経株価指数
300、ハイテク指数、フィナンシヤル指数、コンシューマー指数であ
ること。
イ 規則第80条第2項第1号に規定する「株式の銘柄及びその株数の選定」
は、上記アの株価指数に採用されている銘柄の株式のうちその全部又は一
部について、以下に定める完全法、層化抽出法、最適化法、それらに類し
た方法又はそれらの方法の組み合せにより株式の鋸柄及びその株数の選定
を行うものであること。
a 完全法
採用した株価指数に採用されている全銘柄について、当該株価指数に
完全に一致するようにポートフオリオを構築する方法であること。
b 層化抽出法
採用した株価指数に採用されている銘柄を個別鋸柄の株価変動が類似
する複数の銘柄群(セクター)に分類し、各銘柄群から当該株価指数の
変動とできる限り一致するように銘柄を選定し、ポートフォリオを構築
する方法であること。
c 最適化法
採用した株価指数の予想変化率とポートフォリオの予想収益率の差の
分散を最小化するようポートフォリオを構築する方法であること。
5.基金の福祉事業に関すること
(1)福祉事業の目的
基金の行う福祉事業は、加入者等に対し、基金の給付を補完するという性格
を有しているものであるが、基金の財政の健全性に留意しつつ、給付と一体と
なって、加入者等の福祉の増進を図ることを目的として行われなければならな
いこと。
(2)福祉事業の内容
基金の福祉事業を例示すれば次のとおりであるが、基金は、当該基金、当該
基金の事業主及び加入者に関し、その実情及び福祉事業の必要性等の実態を総
合的に勘案し、最も有効かつ適切な福祉事業を選択して行うものとすること。
@ 保養、健康の保持増進のための施設・事業
会館、保養所、体育施設、山の家、海の家等の設置運営
各種スポーツ、レクリエーション等の実施
A 教養、文化活動の向上に資するための事業
年金、老後の生活資金等に関する知識の普及啓蒙
教養、趣味、社会活動の助長
B 勤労施設の整備
農園、果樹園等の整備開放
C 冠婚葬祭等における慶弔金、災害見舞金等の支給
(3)実施の基準
@ 福祉事業の実施にあたっては、規程を定めるなど、適正かつ効果的な運営
が行われるよう措置すること。
A 福祉事業は、加入者等に対し公平に利用に供されるものであること。
B 事業主が行う厚生施設又は健康保険組合が行う保健福祉施設との調整を十
分考慮し、実効ある福祉事業の実施が図られるよう配慮すること。
C 本来、事業主が行うべき事業の肩替りとみなされるものは実施しないこと。
D 加入者又は加入者であった者以外の者に対し利用に供する場合については、
加入者又は加入者であった者の利用に支障をきたさないよう充分配慮するこ
と。
E 不動産の取得を伴う事業については、給付の充実度及び財政状況を十分勘
案し、実施計画を定め、予め管轄地方厚生局長等へ協議すること。
F 保養、健康の保持増進のための施設及び勤労施設の整備を行う場合にあっ
ては、環境の適否及び地形上、構造上の安全性並びに防火等安全を確保する
ための設備を整備するとともに、利用方法、利用者の範囲、利用時間、利用
心得、利用料金、定員、管理人、損害賠償等に関し必要な事項を定めること。
G 福祉事業の実施及び運営は、直営を原則とすること。ただし、より効果的
な実施及び運営が期待される等特に必要がある場合にあっては、実施及び運
営を委託しても差支えないものであること。
H 福祉事業の実施及び運営を委託する場合においては、受託者の受託能力が
不充分であるもの、設備資金として融資を行う必要があるもの等に対しては
委託しないこと。
I 不動産の取得を伴う事業については、その事業の設置目的の達成のために
より効果的であると判断される場合は、2以上の基金による共同設置又は健
康保険組合等との共同設置ができるものであること。
J 2以上の基金が共同で行う場合又は健康保険組合等と共同で行う場合は次
の点に留意して実施すること。
ア 費用の分担は、公平に行うこと。
イ 共同で実施した事業の内容及び費用の分担等の関係書類を整理保管し、
その実績を明確にしておくこと。
K 福祉事業を実施するにあたっては、健康保険組合等と充分な連携のもとに
実施すること。
(4)費用
@ 福祉事業を行うにあたって必要な費用は、掛金、寄附金、年金経理からの
繰入金、業務経理業務会計からの繰入金及び事業収益金並びにその他の収入
金をもってあてること。
A 基金は、福祉事業を行うに当たって必要な費用に充てるため、業務経理業
務会計及び業務経理福祉事業会計の繰越剰余金並びに年金経理から業務経理
福祉事業会計に繰り入れられた額について、業務経理福祉事業会計において
積み立てることができるものであること。
B 会館、保養所等の福祉事業を実施する基金にあっては、毎年の福祉事業に
係る経常経費を、掛金、事業収入等の恒常的安定財源により賄うこと。
C 不動産の取得を伴う福祉事業の実施にあたっては、当該不動産の取得費用
等は、原則として全額事前積立によるとともに、具体的計画がない場合には、
土地の先行取得は行わないこと。